金の駒と銀の駒

正直な将棋指しの物語
昔あるところに、とても正直な木こりならぬ「将棋指し」がいました。
ある日、彼は川のほとりで大切な将棋の駒を磨いていましたが、うっかり手を滑らせ、その駒を深い川の底に落としてしまいました。
「ああ、私の大切な駒が…これではもう対局ができない」
がっかりして泣いている彼の前に、一人の神様が現れました。神様は事情を聞くと、
「私がその駒を取ってきてあげよう」と言って、川の底へと潜っていきました。
しばらくして神様が戻ってくると、その手には「ピカピカに輝く金の駒」が握られていました。

「お前が落としたのは、この金の駒か?」
正直な将棋指しは、首を横に振って答えました。
「いいえ、私が落としたのはそんな立派な金の駒ではありません。もっと使い込んだ普通の駒です」
神様はうなずき、再び川に潜ると、今度は「銀の駒」を持って戻ってきました。
「では、この銀の駒か?」
「いいえ、それも違います。私の駒はもっと質素な木の駒です」

神様は感心したように微笑み、三度目に潜ると、ようやくあの「最初に落とした木の駒」を持ち帰ってきました。
「おお!これこそ私の落とした駒です。本当にありがとうございます!」
神様は、彼のあまりの正直さに深く感動し、先ほどの「金の駒」と「銀の駒」のすべてを、正直なご褒美として彼にプレゼントしました。
この話を聞いた欲張りな男が、「自分も金の駒を手に入れてやろう」と企みました。
彼はわざと川のほとりで自分の駒を川に落とし、わざとらしく大声で泣き真似をしました。
すると、再び神様が現れ、川の底から「金の駒」を持って現れました。
「おまえが落としたのは、この金の駒か?」
欲張りな男は目を輝かせ、飛びつかんばかりの勢いで叫びました。
「そうです。それこそが私が落とした金の駒です!」
そのあまりの欲深さと嘘に、神様はすっかり呆れてしまいました。神様は金の駒を隠してしまい、二度と姿を現さなくなりました。
欲張りな男は、金の駒が手に入らなかったどころか、元々持っていた自分の大切な駒まですべて失い、川のほとりでいつまでも泣き暮らしたのでした。

